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孤立しない介護―美容室と街の人々がくれた贈り物

neru

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2026.10.25

グループホームに入居してからの母との外出には、とっておきの楽しみがありました。
毎月通う整形外科の受診、いつものファミレスでの昼食、そしてその帰り道に立ち寄る地元の美容室でのシャンプー・カット・顔そり。
夕食の時間までにホームへ戻るのが、私たち親子の決まったコースでした。

その美容室は、母が30年以上も通い続けてきた馴染みの場所です。
在宅介護が始まったばかりの頃、母と同年代の美容師さんに「先生、お母さんが少し変なの。でも、ずっと綺麗にしてあげたくて…。これからもここに連れてきても良い?」と尋ねた日のことを今でも鮮明に覚えています。

先生も、一緒にお店に立つお嫁さんも「もちろん! 誰しも通る道なんだから、全然気にしないでね。」と、笑顔で快く受け入れてくださいました。その言葉に、どれほど心が救われたかわかりません。

地元だからこそ、美容師さんたちが周りのお客さんにもさりげなく母のことを伝えてくださり、私たちは地域の中で孤立することなく過ごすことができました。
綺麗にしてもらう時の母の嬉しそうな表情、他のお客さんとの楽しそうな会話。
通所介護を利用していた頃はパーマもかけていましたが、拘束時間を考慮し、施設介護へ移行してからはカットや顔そりを中心に。
最期の1年は施設での訪問理美容にお願いすることになりましたが、美容室の椅子に一人で座れるギリギリまで、私たちはあの思い出の場所へ通い続けました。

今振り返ると、私たちは本当に地域全体に温かく支えられていたのだと深く実感します。

実は、まだ歩ける状態の母を車椅子に乗せて近所を散歩することには、最初は少し抵抗がありました。
「もしもの時の安全のために車椅子は必須だけれど、母はどう思うだろう? 慣れ親しんだ地元で知り合いに会ったら、嫌な思いをしないだろうか…」と不安でいっぱいだったのです。

けれど、それは私の取り越し苦労でした。
近所の方々は見て見ぬふりをするでもなく、変に同情するでもなく、「車椅子、ラクチンで良いわね~」「娘さんと一緒で幸せね~」と、ごく自然に母へ声をかけてくれました。私も「この車椅子を押すのが、私の運動不足解消なんです!」と笑って返すことができ、胸のつかえがすっと消えていくのを感じました。

母と私は、最期まで「自分たちらしく」穏やかな時間を重ねることができました。
それを影で、そして温かく支え続けてくださった美容室をはじめご近所の皆さん、通所介護のスタッフの皆さん、そして終の棲家となったグループホームの皆さん。関わってくださったすべての方々に、心からの感謝を捧げます。

本当に、ありがとうございました。