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ケアラー体験記

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姉の選択肢を、私が奪っていたのかもしれない

Coco

2026.07.17

姉は30年以上前に結婚し、実家を離れた。

今では、実家で暮らした時間よりも、嫁いでからの人生の方が長い。

母に対する考え方も私とは違うし、昔から性格もまったく違った。

だから私は、姉を介護の戦力として考えたことがない。

父が生前よく言っていた。

「うちは女二人だから、自分たちのことは自分たちで何とかしないといけない。」

その言葉もあって、姉が関与しない思想も理解できる

最近、母の状態が急に変わった。

歩くことも、立つことも難しくなり、一人での排泄介助は限界に近づいている。

周りからは、

「お姉さんに協力してもらえば?」

と言われる。

でも私は、

「うちはそういう家じゃない。」

「姉は来ない人だから。」

そう答えていた。

ある日、その話を友人にすると、

「今の状況だけでも伝えておけば?」

と言われた。

私は反射的に、

「あの人は変わってるから、言っても会いに来たりしないよ。」

そう返した。

すると友人は、静かに一言だけ言った。

「そっか。あなたはそう思うのね。」

その言葉に、はっとした。

私は、自分の思い込みだけで姉の選択肢を奪っていたのかもしれない。

来るか来ないか。

何を思うか。

どう行動するか。

それは姉が決めること。

私は状況だけを伝えればいい。

そこに期待や失望という感情を乗せる必要はないのかもしれない。

そう思って、母の今の状態を姉へ伝えた。

歩くことが難しくなったこと。

一人介助では限界に近いこと。

それでも、できるところまで家で介護を続けたいと思っていること。

そして、「遊びに来たかったら、いつでもどうぞ」と添えた。

返ってきた返事は、とても短かった。

「無理のないように。」

それだけだった。

でも、それでいい。

姉は姉。

私は私。

姉妹だからといって、同じ考えである必要はない。

大切なのは、私が勝手に相手の答えを決めつけないこと。

今回の出来事で、そんな当たり前のことを改めて教えてもらった。