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「履くパンツ」がくれた自由 〜プロと共に築いた尊厳〜

neru

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2026.05.31

グループホームに入居して1か月、平穏な日々の中で、母の失禁の回数が増えていることに気づきました。
ホーム長さんから報告を受けた際、私は「やはり施設に移ったからだろうか」と、自分を責め、深い自己嫌悪に陥りました。

しかし、ホーム長さんは私の焦りを静かに受け止め、主治医との面談の機会を設けてくれました。
専門家から認知症による排泄のメカニズムや不安の正体を聞き、提案されたのは「履くパンツ」の使用でした。

当初、私は強い抵抗を感じました。
「これを履いたら、もうトイレには連れて行ってはもらえないのではないか」という不安があったからです。
しかし、ホーム長さんは私の納得がいくまで、何度も丁寧に説明してくれました。
「履くパンツを利用されていても、トイレ誘導はこれまで通り続けます。」
施設側がそれを「オムツ」ではなく「履くパンツ」と呼び、母の尊厳を守ろうとする姿勢に、私は自分の偏見を恥じました。

私は主治医とホーム長さんに、母のためにこうお願いしました。
「安定剤は必要最低限にしてください。母の不安には私も寄り添います。排泄はできる限りトイレ誘導をお願いします。少しでも濡れていたら、自己負担で構いませんので、こまめに交換してください。母にはただ、快適に過ごして欲しいのです。」

私自身も「履くパンツ」を試してみると、その快適さに驚きました。
私の願いを真摯に受け止めてくれた施設の方々の手厚いサポートもあり、1か月もしないうちに、母は安定剤も必要なくなり、失禁を気にすることなく、いつも通りの笑顔で快適な毎日を過ごせるようになりました。

「施設に預ける」とは、責任を放棄することではありませんでした。
プロの手を借り、信頼関係を築くことで、私は母を介護する「娘」としての役割に専念でき、以前よりも深く、母と向き合えるようになったのです。
あの日の決断は、母にとっても、私にとっても、かけがえのない宝物の1つとなりました。