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ケアラー体験記

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生きているのに、過去の人みたいに言われる

Coco

2026.03.30

母は40代から60代まで近所の郵便局で働き、母子推進委員や民生委員、町内会の理事などもしていた。だから同じ町内には、母を知っている人がたくさんいる。

その人たちと、今の私が顔を合わせることがある。
でも、私はその人たちのことをよく知らない。

そんなとき、決まって聞かれる。
「お母さん元気?」

その一言に、いつも答えに困る。
元気かどうかと聞かれても、何をもって元気と言うのかが分からない。
私の思う「元気」と、相手の想像している「元気」は、きっと違う。

だから私は、「生きてます」と答える。
そうすると、相手はたいてい少し引く。

そして続けて言われる。
「立派な人だったのにね」
「頭のいい人だったのにね」

その言葉を聞くたびに、胸の奥がざらつく。
まだ生きているのに、まるで過去の人のように語られる。
分かっていて言っているのか、それとも無意識なのか。

誰も悪くないのかもしれない。
でも、その場にいる私は、ただその場から離れたくなる。

「お母さん元気?」
その問いに、どう答えるのが正解なのか、今でも分からない。