contact

ケアラーズコンシェル

ケアラー体験記

ブログ

「見える」から始まる、第二章

neru

取材OK

2026.03.22

4月に開所する新設のグループホームへの入居が2月中旬に決定し、部屋作りと同時進行で進めていたのは、母の「身体のメンテナンス」でした。

外出する際、母がいつも足元ばかりを気にしていることが、ずっと心に引っ掛かっていました。
「もしかして、周りがよく見えていないのではないか?」そんな不安が拭えませんでした。

しかし、認知症の母を眼科に連れて行くのは、想像以上に高いハードルでした。
視力検査や眼圧測定など、検査の内容を母に理解してもらうことが難しく、総合病院での受診は困難を極めました。
丁寧な検査の結果、判明したのは「白内障」でした。

認知症があることで、医師も手術には消極的な姿勢を取られていましたが、私はどうしても諦めきれませんでした。
「来月からグループホームへの入居が決まっています。母の介護第二章を、最高の状態で楽しんでもらいたいんです!」と、精一杯の想いを伝えました。
その熱意が届いたのか、私が手術に付き添うことを条件に、先生も手術を決断してくださいました。

片目ずつ、二度にわたる手術。
グループホーム側にも事情を説明し、入居日を2週間遅らせてもらいました。
その間に私は母の部屋を整え、文字通り万全の態勢で新しい生活を迎えられるよう奔走しました。

術後の経過は、驚くほど良好でした。
自宅でテレビの上に積もった、ほんのわずかな埃にまで母が気づいたとき、私は胸が熱くなりました。
「ああ、本当にお母さんの世界は明るくなったんだ」と。

無理を承知で向き合ってくださった医師には、感謝の言葉しかありません。

そして、すべての準備が整った日。
はっきりと見えるようになったその瞳で、母は今、私が心を込めて整えた、新しい「第二の我が家」の部屋を見つめています。
眩しそうに、そして嬉しそうに、その新しい世界を。