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ケアラー体験記

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母の歌声と温かいお湯

みや

2026.03.09

毎日、母がデイサービスから帰ってくると、自宅で足を洗うのが私たちの習慣になっている。
お風呂はデイサービスで済ませてくるのだが、足だけは家で丁寧に洗ってあげたい。

お湯に足を浸し、私が手を動かしている間、90代の母はいつも本当にご機嫌だ。
ふいに歌を口ずさんだり、「ああ、幸せだねえ」と真っ直ぐな言葉をくれたりする。

在宅での介護は、きれいごとばかりではない。
毎日の食事の用意に追われ、夜中の対応で寝不足が続くこともある。体も心も削られるような感覚になる日だってあるけれど、母のあの満足そうな顔を見ると、「ああ、家でこうして過ごせてよかったな」と心から思える。
そばにいる兄も、母の様子を見てうれしそうに笑っている。

いつか施設にお願いする日が来るのかもしれない。その迷いがゼロなわけではないけれど、今はまだ、この家で何とかやっていける。そう思えている。

母の足を洗うとき、手に触れる温もりや、部屋に流れる穏やかな空気。
この瞬間の記憶は、きっとこの先もずっと、私の心に深く残っていくのだと思う。