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ケアラーズコンシェル

ケアラー体験記

ずっと「人の家」にいるような感覚を抱えてきた私へ

ともこ

取材OK

2026.01.10

結婚して31年義父との 同居をして25年。
最近になって、ふと気づいたことがあります。
私はずっと 「自分の家なのに、人の家にいるような感覚」 を抱えたまま暮らしてきたんだな、と。
義父との関係がこじれ、 「うるさい」と言われた日から 私はリビングに入らなくなりました。
それがいつのことだったのか、 もう思い出せないくらい 長い時間が過ぎています。

ケアラーとして家族を支え、 波風を立てないように気を配り、 誰かが困らないように先回りする。
そんな毎日の中で 自分の居心地や感情は、後回しになっていきました。

最近、義父の物忘れや感情の変化が目立つようになり、 大きな声で責める姿に 言葉にできない苦しさを感じました。
それは 「怒り」だけでも 「悲しみ」だけでもなく、 もうこれ以上、誰も傷ついてほしくないという感情だったと思います。

 ある日、たまたま30分だけ 家に一人になる時間がありました。
その静かな時間の中で、 古いタンスの中を少しだけ整理し、 レジ袋ひとつ分、処分しました。

景色はほとんど変わらない。 誰にも言わない。 それでも、心が少しだけ呼吸できました。
私はそのとき初めて、 「これは家を変えるためじゃない」 「誰かを説得するためでもない」
“自分が自分でい続けるための行為”だった と気づいたのです。

ケアラーは、 我慢する人でも、強い人でもありません。
ただ 自分の感情に気づく余裕がなかっただけ。
もし今、 「言えない気持ち」 「説明できない違和感」 を抱えている方がいたら、
それは弱さではなく、 あなたの心がちゃんと生きている証拠です。

小さくていい。 誰にも言わなくていい。
自分の心が息をできる選択を、 少しずつ取り戻していけたらいい。

  私は、そんな小さな「心の息継ぎ」の感覚を。
ケアラーが一人で抱え込まなくていい場所とモノ・関係を、
これからも大切にしていきたいと思います。