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数字が教えてくれた、母の日常

neru

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2025.12.29

母が施設に入所してからも、私のExcelでの収支管理は続いていました。
毎月、自宅に請求書が届くと、明細を一つずつ確認し、費用項目ごとに数字を入力していく。それが私の大切な習慣になりました。

それは単に、入所前に立てた「5年間のシミュレーションと現実を比較する」ためだけではありませんでした。
入力する数字の一つひとつが、施設で過ごす母の日常を雄弁に物語ってくれていたのです。

例えば、外出イベント費が計上されている月は、スタッフの方々に余裕があり、大掛かりなイベントを楽しめたのだと分かります。そんな時は、母の楽しそうな表情が自然と目に浮かびました。
反対に、基準外の訪問診療の請求がある月は、母の体調が優れなかったことを示しています。
オムツの請求額が増えれば、母の介護が進んだことを客観的に受け止める指標になりました。

私が付き添って外出した際のタクシー代や外食費、美容院代などもすべて記録しました。
それらの数字を眺めることで、母が今どのような状態で、どのような時間を過ごしているのかを手に取るように把握することができたのです。

高額医療・高額介護合算療養費制度などの給付額も追記していたため、収支の全体像を常にクリアに保つことができました。
仕事で使い慣れていたExcelは、私にとって母の状態を知るための「レンズ」のような存在だったのかもしれません。

母を看取るまでの5年9ヶ月。私は最期まで数字を通して、母の命の輝きと日々の生活を静かに、けれど確実に見守り続けることができました。