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施設介護が私の介護

elle

2025.11.23

母が介護付き有料老人ホームに入所したのは 2009 年2月のことでした。
当時の私は、介護というと「自宅で世話をするもの」という思い込みが強く、
施設にお願いしていることにどこか後ろめたさを感じていました。
そんな気持ちを抱えたまま数年経った頃に参加したのが、労働局主催の介護セミナーでした。
講師の方は、セミナー冒頭に参加者に向けて挙手を求めました。
「今介護している人」「これから介護になりそうな人」「仕事で必要だから来た人」。
私はどれにも手を挙げられませんでした。
自分は“介護をしている”と言っていいのだろうか、と迷っていたからです。

セミナーの中で「施設介護も立派な介護です」と講師の方が話されました。
その言葉を聞いた瞬間、胸につかえていたものがすっと落ちていくような感覚がありました。
家族が安心して暮らせる環境を選び、そのために関わり続けることも介護の一つなのだと…。
それは仕事で何かを企画し、運営していくのと同じです、と説明されました。

その言葉を聞いてから、私は自分の介護に対する後ろめたさがなくなりました。
職場の人に「施設なんだぁ」と少し含みのある言葉を向けられても
「そうなんです~」と笑顔で答えられるようになりました。
心の中では「それが何か?」と呟きながらですが…

あのセミナーでの講師の方の言葉は、今も忘れられない大切な気づきです。
一人一人の人生が違うように、介護にもいろいろな形があっていい。
それぞれの状況に合った方法で、関わっていけばよい。
今は心からそう思っています。