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私が笑えば母も笑う〜セルフケアの視点で見つけた介護の平穏

neru

2025.11.23

認知症の介護は長期戦です。
私は母の症状が悪化する前に「いつもと違う点」を感じたらすぐに受診する、早期発見・早期治療を心掛けていました。
この予防医療の意識は大切でしたが、認知症の母を病院へ連れて行くという行為は、それだけで心がすり減るほどの労力と気疲れを伴うものでした。

良かれと思って掛けてもらった専門職の言葉に深く傷つくこともあり、ある日、ふと気づいたのです。私が疲れ果てて笑顔を失ってしまえば、母の穏やかな日々も壊れてしまうと。

そこで、私はある強い覚悟を持つようになりました。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」
そして、主たる介護者である私が気疲れせず、平穏でいることこそが、介護をする上で最も大切だと割り切ったのです。

なぜなら、私が笑顔でいられれば母も笑う。母が笑えば、介護に関わる方たちの気持ちが上向くことを実感したからです。
この平穏を守るための「事前の準備」こそが、私の大切なセルフケアでした。ストレスになる前に察知し、未然に排除する知恵です。

在宅介護の頃、初めて受診する病院では、診察券の裏に私の思いを記した付箋を貼るのが習慣でした。

「母は認知症です。質問は母ではなく、まず私にしてください。その上で、母には親切な言葉をかけていただけると、診療がスムーズに進むと思います。よろしくお願いします。」

これは、私たち親子にとってストレスになり得る要素を、一つ一つ取り除くための、切実で具体的な工夫でした。

この「自分を大切にする」という強い意思と「事前の準備」こそが、長期にわたる介護生活で私が平穏を保ち、結果的に母の笑顔という最高の宝物を守り続けるための指針となりました。