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ケアラー体験記
専門職との付き合い方
糖尿病の母に渡された“危険な優しさ”
Coco
2025.11.06
母がまだ元気にあるけていた、おそらく要介護2ぐらいのころです。
介護保険を使い始めの頃は、母は通所リハに通っていました。
ある日、私が会社から帰宅したら、テーブルの上に浅草の人形焼きの箱がありました。
「これ、どうしたの?」と聞くと
「デイでもらった」と嬉しそうに言いました。
は??
「あなた、糖尿病よね?これ食べる気?!」
なんだか急に胸の中がざわつきました。
母には糖尿病があります。
その母に、8個入りほどの人形焼きを丸ごと渡す──。
それがどういう行為なのか、危険性を理解していないことが、すぐにわかりました。
私は仕事から帰宅したばかりでしたが、すぐに母を叱りました。
そして施設に電話し、「説明に来てください」と伝えました。
夜、責任者が自宅に来ましたが、対応から“クレーマー扱い”されているような空気を感じ、
余計に胸の中が苦しくなりました。
母は通所リハの施設内を歩いていて、
それは東海道五十三次のスタンプラリーになっていました。
京都までいって、東京にもどってきた「よくがんばりました!」の記念に
人形焼きを箱でプレゼントした、とのことでした。
責任者は
「お母さまはとても頑張っていらっしゃいましたから」
と言いました。
私は呆れてしまいました。
母が頑張ったことと、人形焼きを危険な量渡すことは、まったく別の話です。
「母が頑張れたのは、皆さんの応援のおかげです。
私はそこには感謝しています。
でも、怒っているのは“人形焼きをそのまま渡した行為”のことです!」
私はそう伝えました。
そして
「もし、どうしても祝いの意味で渡したいなら、
利用者さんみんなで“おやつの時間に1個ずつ食べるイベント”にすればいいじゃないですか!
皆さんの応援のおかげで母も頑張れたのですから、利用者の皆さまに人形焼きをお裾分けするのは楽しいイベントになるじゃないですか!」
っていったら
「それはいいですね!」って・・・
私は母がいるから気づけたし、阻止できました。
でも、もしこれが“独居の糖尿病の利用者”だったら?
誰も気づかず、血糖値が急上昇して倒れていたかもしれません。
だから、私は苦言を言ったことを後悔していません。
ただ一方で、介護職は病気の知識が乏しい場合もあるという現実も知りました。
意見を言えばクレーマーと扱われるかもしれない。
かといって黙れば、母に危険が及ぶ。
「言うべきこと」と「言うことで不利益を受けるかもしれない怖さ」の間で、
本当に塩梅が難しいと感じました。
その後、この通所リハとは別の理由で完全に決別しました。
いま思うと、決別できてよかったと思います。
あのときの怒りは「他の利用者のため!」って思っていたけど
“母の命を守るための怒り”だったのかもしれないですね。
でも、今思い出してももやもやします・・・
糖尿病や高血圧って軽視されがちですが
もっと病気の意味を勉強して欲しいと思ったり、思わなかったり・・・です。
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