2014年11月29日
【第7回議事録】働く介護者の時間のやりくりについて
今日の参加者
開催概要 [日時] 11月29日(土)14:30から [場所] 阿佐ヶ谷・アラジンのケアラーズカフェで行いました。 [参加者] 女性6名、男性2名。年齢層は30代から50代。 そのほか、オブザーバーには省庁職員、新聞媒体などの多数の方が参加してくださいました。
働きながらの介護で、うまくできた時間のやりくりを教えてください
・食事管理についてはうまくできていると思う。 朝・昼は要介護者自身がなんとかやれるので、 夜の分は週末にたくさん作ってストックして、やりくりしている。 ・「時間の使い方」とはちょっと違うけど、 介護休業をとる数ヶ月前、要介護者の手術の付き添いが必要になり、1週間有休を取った。 この時に、実家では介護の負担が大変だということを職場に匂わせていたので、 結果的にその後スムーズに介護休業を取得できたのかなと思う。 ・徘徊や問題行動があったけど、どうしても勉強の時間をつくりたくて、見守りをあきらめて、 24時間OKの自習室を1ヶ月借りて勉強した。 今思えば、何もなかったから後悔していないが、何かあったら後悔していたかもしれない。 ただ、自分のやりたいことを優先するには、ある種のあきらめもその時には必要だった。 -------------------------------------------------------------- 「時間の使い方が上手にできたことなんてない。だから来ているんです。」 なんて厳しい言葉が初っ端から飛び出していましたね。 いえいえ、知らず知らずに上手になっていることもあるはずなんです。 例えば 「介護初心者のころは申請書類などがあれば、すぐに会社を休んで提出していた。 いまはいくつかまとまった段階で会社を休み効率よく回ることができるようになった。」 こんな当たり前のことも、介護初心者の時はできなかったわけです。 また、上手にできたお話を伺うと「目的」が明確であることが分かります。 何のためにその時間を作るのか、使うのか。 といういった「目的」が明確であるからこそ、マネジメントできることもあるのではないでしょうか。
働きながらの介護で、失敗しちゃった・うまくできない時間のやりくりを教えてください
・自分の都合じゃないところで上手くいかないことが多々ある。 要介護者の体調によってはデイサービスから電話で「お迎えにきてください」と言われたり 送迎を分担していた親族に急用ができて「お迎えを代わってくれ」と言われたり。 ・要介護者の状況はマネジメントできるものではない。想定外のことが起こると自分ひとりでは解決できないこともある。 例えば、デイサービスから帰ってくるタイミングでヘルパーを入れても、 数分差で行き違ってしまい鍵が開けられず・・・というような支援者間の連携問題もその一つ。 ・予定を立てる以前の問題。想定外のことが起こりすぎて、自分のために時間を使う気になれない。 ・いつもお昼時にお弁当を届けに一時帰宅しているのだが、ある日帰宅したら要介護者がいない! あわてて会社に半休の電話をして、各方面に電話をして、探しに出たが、 実はその日は要介護者が病院にいっている日ということに気が付いて事なきを得た。 ・要介護者と一緒に出掛ける場合、外出時間を早め早めに設定して本人に伝えている。 しかし、要介護者の性格もあって支度の最中に違うことを始めてしまい、 本来の外出時刻さえも過ぎてしまう。 ・昼休みに一時帰宅して要介護者にご飯の支度をしていた頃、 職場へ戻るバスが度々遅れて休憩時間を過ぎてしまい、怒られるということがよくあった。 -------------------------------------------------------------- 確かに介護者の場合、要介護者の都合でタイムマネジメントがしづらいということはあります。 しかし、試行錯誤を重ねるたびに介護者もいろいろ工夫をするようになるんですね。 例えば要介護者が認知症の場合 ・24時間監視はできないが、ふらふらと徘徊してしまうときにはいつも決まった靴を履くので、 靴にテプラで連絡先を貼ることで、何かあれば連絡が来るようにした。 ・朝の着替え時に「本日の装い」を写メで撮っておくと、捜索を依頼するときに説明しやすい。 ・要介護者が健康体なので、食事で排泄のコントロールをするときがある。 など、かなり具体的な対策が出ました。 これらの対策に「絶対」はないと思います。 ある方がおっしゃっておられましたが「自分のストレスを少なくするための方法」というように 自分なりの基準を持つことで、対策の方向性は探れるのかもしれないと感じました。
働きながらの介護で、うまく時間をやりくりするには何が必要だと思いますか
・「どうにかならないわけがない。」という気持ちで、外部サービスをとことん試しました。 そして、結果に対し「何がだめだったのか」をしっかり分析することで、 次のトライが見えてくる。失敗を恐れないことが大事だと思います。 ・ケアマネがいい人なので、要介護者に何かあった場合は先にケアマネに行ってもらっている。 協力者を作ることも働きながらの介護には必要だと思います。 ・同じ失敗を繰り返したくないと思うからこそ対策を考える。 要介護者に期待するのは難しいので、周りの環境の方を整えることを考えるのがいいと思う。 ・毎日がいっぱいいっぱいで、その日を生き抜くのに必死になってしまうので、 上手く人を巻き込み、時間を借りる、知恵を借りるなど、それも自分でできる対策ではないかと思う。 ・「要介護者が何をするにも時間がかかる」ということを織り込み済みにして、 自分の時間の余裕・心の余裕をいかにして作るかがポイントだと思う。 自分のことは前倒しで取り組むようにする。 ・要介護者が「何かやっちゃう」ときは、たいてい介護者に余裕がない時。介護者の気持ちが反映されるものだと思う。 ・慣れもあるが、やはり自分の気持ちの持ちようなところもあると思う。 人間は学習していくものだから、気持ちの持ちようで自分の時間は作れると思う。 -------------------------------------------------------------- 「介護をしていて良かった」とはいわないけれど、 介護を通して自分の価値観が広くなったり、スキルがあがったり、自分と向き合うことができるようになったりと 介護はマイナスなことばかりではないようです。 「介護をするうちに少しずつ自分の手で料理を作るようになったら、 ”誰かに食べてもらえる楽しみ”という今まで知らなかった気持ちを感じることができた。」 「関わる人数が多くても要介護者を混乱させるし、少なくても介護者が大変です。ちょっと引いて全体を見てみることで その時の最適が見えるような気がします。できるできないは別ですけど・・」 「要介護者を観察することも大事だと思います。そのうえで自分が何をしたいのか的確に伝える訓練が必要だと感じました。 そして、プロから言われたことは、まず素直に取り組んでみる。そういう姿勢も大事だと思います。」 「収入や精神的な支えがあるといいと思います。ある種の開き直りも必要かも。こまっていることを素直に吐き出してみます。」 「介護はスタンダードがないですね。私は一人っ子なので覚悟を決めています。 そして”要介護者に合ったことをしよう”という気持ちがいまは私のエネルギーにもなっています。」 「仕事のノウハウが介護で役にたつことがあると思います。物事に対する考え方や取り組み方という意味で。」 「自分の利益や幸せを具体的に考えて行動してもいいと思います。」
雑感
今回のミーティングではいろいろな意見が飛び交いました。 建設的に知恵を絞り、経験を語り合い、 テーマに対するコタエをまとめきることができなかったほど、 あっという間の素敵な時間だったと思います。 いままでの自分の介護生活を振り返り 「そういえば、これができるようになった。」 「いま思えば、立ち直りが早くなった。」など そんな気づきが芽生えた時間でした。 タイムマネジメントだって24時間365日が上手にできるはずはありません。 日常が自分の思うように訪れると思っていることが間違っています。 雨だって降ります、 電車だって止まります、 おなかがいたくなることだってあります。 それは介護とは関係のない日常生活においても同じではないでしょうか。 ただ、介護はタイムマネジメントできないからといって、 だらだらと受け身のまま介護生活に流されるのはどうかと思います。 最初は目の前のことでパニックになっているから仕方がないところもあるとは思います。 でも、目的を持ってトライしてみる。 10回やって1回うまくできればいいかな。ぐらいの気持ちでやってみる。 そんな取り組みをすることで、 違った日常の風景を見ることもできるのかもしれません。