【第6回議事録】働く介護者の味方! 介護休業を考える

2014年09月20日

今日の参加者

◆開催概要 [日時] 9月20日(土)14:30から [場所] 阿佐ヶ谷・アラジンのケアラーズカフェで行いました。 [参加者] 女性8名、男性2名。年齢層は30代から50代。 介護歴2か月の方から介護歴12年の方までお揃いいただきました。

介護休業ってどのような制度だと認識していますか。

・会社員の権利として使ってよい制度 ・親が要介護になった時に使う制度 ・介護を集中して行うときに使う制度 ・仕事と介護の両立支援のための制度 ・1年でも足りない ・介護休業を使って戻ったら居場所がないかもしれないと思うと使えない ・制度自体をよく知らない ・初動の呼び出しが多いときに使う制度? ・最後の砦として1回きりの制度 ・介護を軌道にのせるための準備期間だと思う ・医者から要介護者に余命宣告されたら使おうと思っている _____________________________________________ おひとりおひとりに「介護休業」について伺ってみました。 法定の93日に対して「短い!」と皆さん口をそろえておっしゃっておられました。 でも、何を基準に「短い」のでしょう。 そもそも介護休業で「何」をしたら93日では足りなくなってしまうのでしょう。 それは、介護休業を取得する目的が 取得する側も制度を用意する側も不明瞭であるためのような気がしました。 しかし、参加者の中からすばらしいご意見が出ました。 「介護休業は介護を軌道に乗せるための準備期間」 確かにそう捉えれば、93日を何とかうまく使いこなせるかもしれません。 一般的にも介護休業は介護環境の整備に使うといいと言われております。 とは言え、 介護を軌道に乗せるには何をするの? 「介護環境」ってどういうことなの? という疑問が出ますよね。 そこで、実際に介護休業を取得したケアラーからお話を伺うことにいたしました。

1年間の介護休業生活

<概略> ・会社の当時の介護休業制度は 「1ヶ月以上1年間連続して取得、さらに最大1年延長可能」 ・遠距離にある実家では、老老介護状態が限界にきていた。 ・自身が一度帰ることで家庭内の空気を一旦緩和したかった。 <介護休業に入る前・準備> ・引っ越し手続き(一旦、当時の自宅を引き払う) ・福祉車両を中古で購入 <開始〜3ヵ月目・介護に参加しながら現状把握> (父から介護役を引き受け、やり方を効率化させてから引き渡そうとしていた時期) ・主に日中、母の話し相手と介助 ・ケアプラン見直し(介護の担い手増加のため) <3か月目~9か月目・介護サービスや介護者の質の向上を模索> (介護者として各支援者に顔が知れたので、サービス内容に口をだしていった時期) ・適切な介助方法や接し方について担当者らにアドバイスを請う ・ケアプラン、デイサービスのリハビリ計画、訪問看護計画書等に対し改善要望 <9か月目~11か月目・復職の可否を検討し、復職後の体制づくり> (自分が抜けても父の介護負担が元に戻らないように調整するための時期) ・地域に介護者のフォロー体制があるかを調べる ・ケアマネに保険点数を超えて利用した場合のケアプラン試算を依頼 ・地域包括支援センターによる家庭のヒアリング、適宜訪問を依頼 ・離れても家の様子がわかるようSkypeを設置 ・介護サービス担当者会議で家族の作業分担表を元にケアプラン見直し <11か月目~12か月目> ・早めに再上京、自分自身の休息と復職準備 _____________________________________________ 上記の介護休業は「介護をするつもり」で取得したそうです。 1年が終わることになって「自分が抜けても大丈夫か?」という考えになったそうです。 介護休業を看取りに使うのか、介護環境の準備に使うのか、など あらかじめ目的を設定しておくとよい ということを知っていたら、 介護休業中の内容もまた違っていたかもしれない、とおっしゃっておられました。 _____________________________________________ 非常に貴重なお話をありがとうございました。 遠距離ならではの 「離れても家の様子がわかるようSkypeを設置」は他の介護者が反応していました。 高齢のご両親にも操作ができるようにと、 パソコンでSkypeではなく、テレビとブルーレイプレーヤーを組み合わせて、 リモコンだけで簡単にSkypeができる環境を整えてきたそうです。 さすがIT企業にお勤めの方ですね!

現在、ご自身が介護者として取り組んでいることで「介護環境を整える」 ということには何が該当すると思いますか。

・情報収集が下手で、介護保険のことを知らず、8年間辛い思いをした。  その後、介護保険のことを知って1年半で体制を整えた   デイサービスにチャレンジ→本人が拒絶し中止   住み込みヘルパーを雇う→自費負担が大きいので、資金対策もした ・要介護者の状態が変わったらケアマネが辞めてしまった。   リフォームや福祉用具の業者と何度も交渉した ・遠距離介護なので、1か月ぐらいで最強の布陣を整えた。   ケアマネを紹介していただいた   デイサービスをプランニングしたが本人がデイサービスを拒絶したため中止   ヘルパー訪問や弁当宅配で毎日誰かしらの見守りをいれるようにした   フェイスブックに日記代わりに「誰か助けてください」と書き込んだら情報が集まった ・介護は費用がかさむ   バリアフリーの家に引っ越した。   特養に入れず、2か所の老健でショートステイでつないだけど、費用がかかって大変だった   通院などのためにNPOの送迎を利用しており、介護タクシーより料金が安いものの対応が悪い。 ・慣れ   行政から安く支給してもらえるGPSで何度か徘徊中の親を見つけることができた   火元が怖いので、ガス台をやめてIHに変更した ・突然倒れたので気が動転して、無我夢中だった   気が動転してその流れで介護が始まったので、生活が乱れた   アルバイト生活だったので、病院からの頻繁な呼び出しが家計に直接打撃になった   初めの1か月ぐらいは何をしたのかさえも覚えてない   3か月ぐらい経って、やっと自分のベッドで寝れるようになった ・実家にもどった   精神疾患が根底にある要介護者にとって、自分が環境要因の一つである   昔のように同居という形をとり、介護者自身が充実した生活を送り始めたら要介護者の状態が改善した   実家に戻ったが、身体介護はしていない。   あくまでも自分は介護マネジメントの担当 _____________________________________________ 介護環境と一言でいってもいろいろありましたね。 介護保険サービスを利用、見直しする 住宅改修をする お金の工面をする ITを駆使する  など 大事なことは 介護環境を整えて何をしたいかでしょう。 私たちはビジネスマンです。 仕事では目標設定や成果・結果が求められます。 介護も同じです。 むしろ、そう考えると、働く介護者は介護マネジメントが上手なのではないかとさえ思います。 介護休業を何のために取得するのか、 そして、そのために得られる結果を想定しておくことで、 細かいアクションプランが出てきます。 その内容によっては 介護休業まで使わなくても、介護休暇で十分な場合もあり、 ふつうの有給休暇を充当してもいいかもしれません。 ただし、大事なことは 介護休業を取得しやすい社風にしておくことです。 いくら、介護休業の目的や成果の設定ができていても、 そもそも取得できなければ意味がありません。 介護休業を取得したいとなかなか切り出せず、 悩んだあげくに退職してしまう… そのようなシナリオは、本人にも企業にも大ダメージです。 経営者の皆さま、企業人事の皆さま、 働く介護者に優しい会社をお願いいたします。 制度の存在や意義を周知すること、 介護の相談窓口になれる人がいること、 普段から公休を取りやすい体制作りをすることなど、 第4回でも同様のアイディアは出ていました。