【第11回議事録】介護をしながら働き続ける〜在宅サービスを使いこなす

2015年07月18日

今日の参加者

[日時] 7月18日(土)14:30から [場所] 新高円寺・アラジンのケアラーズカフェで行いました。 [参加者] 女性10名、男性4名。(スタッフ・オブザーバー含む)年齢層は40代から50代。 ゲストに現役ケアマネージャー様をお招きしました。

現在利用している介護保険サービスは何ですか?

・ 要介護3でデイケア(週3)、デイサービス(週2)、訪問看護・訪問歯科(各週1)。 ・ デイサービス(週2)、訪問看護、最後の方は訪問診療も入れた。 腎不全だったのでデイサービスに出したくても出せなかった ・ デイケア(週2)、訪問介護(週5)、訪問看護(月1)、訪問マッサージ(月1)。 ・ 訪問看護、デイサービス、ヘルパー、訪問リハビリ、訪問マッサージ。 ・ かかりつけ医がいるので利用していない。 ・ 介護度3で認知症。デイサービス(週5)、訪問看護、ヘルパー(週3)、私費で送り迎え(週5)と送り出し(週3)、ソフト食配食(毎日)。週1回の在宅日には1日3回ヘルパー訪問。 ・ デイサービス(週3)、訪問看護。 ・ 住み込みのヘルパー(保険で足りない分は自費)。 ※自費ではどんなサービスを利用していますか? ・ 弁当 ・ ヘルパー ・ 外出の付添 ・ 朝の送り出し&迎え ---------------------------- いろいろなサービスを意外と皆さん使っているようです。 特に自費のサービスを活用している方が多くいらっしゃいました。フルタイムで働く場合、自費サービスも視野に入れることも必要なのかもしれません。

こんなサービスがあったらいいな、と思うサービスがあったら教えて下さい。

・デイサービスを当日キャンセルしたとき(行きたくないという理由で)、緊急で来てくれるヘルパーがいるといい。 (講師)契約時に、再送迎を施設と交渉できる。時間をずらして改めて迎えに来てくれるとか、別の日に振り替えられるかなど。しかし、ヘルパーを急に呼ぶことはできない。予定が埋まっているため。 ・残業の時に延長してくれるデイサービス。 (講師)契約時に確認が必要。自分がどんな時に困りそうか、契約時に想定してそういう契約をしておくといい。また、そういう対応をしてくれる施設をケアマネに探してもらうことも方法の一つ。 ・通院時にヘルパーなどに付添いをしてほしい。保険内と保険外のどちらのサービスになる? (講師)原則は病院の前までは保険内、病院内は保険外。ただし、契約による場合もある。 ・ヘルパーさんが迎えから診療の付き添い、帰宅までやってくれるもの? (講師)介護度1以上、行きと帰りのみ。病院内に入ると介護保険の範囲外になってしまうので、自費になる。 ・病院で対応してくれるナースさんなんていないですよね? (講師)ほぼいません。付き添いには長時間かかるので、対応してくれるヘルパーさんの手配は難しい。 ・訪問看護はどこまでやってくれるのか? 複数の医師から処方されている場合の服薬管理は? (講師)かかりつけ医の先生一人の指示書に従って対応する。複数いる場合は訪問の看護師が主治医にそのほかの服薬についての指示書を依頼する。 ・うちは通院の付き添いを対応してくれた。保険内でのサービスでどこまでやってくれるものなのか? (講師)23区内で温度差がけっこうある。車椅子、認知症が重い人は院内まで付き添ってくれることもある。訪問看護も温度差があるので、ケアマネとしては対応可能な訪看を探すために何カ所も聞いてみることがある。 ・訪問看護とヘルパーの違いがわからない。普通の世話だと思ったら医療行為だからヘルパーには頼めないという場合もある。 (講師)看護師が対応するのは、傷のあるものや、薬。いわゆる医療行為。ただ、家族にとってはその違いが判らないと思うので、自分が介護していて「怖いな」と思う行為は、ヘルパーでなく看護師に相談することを目安にするとよい。 ・マッサージとリハの違いは? (講師)マッサージは「筋肉をほぐす」のが目的。リハビリは「運動」をする。歩行訓練やお風呂の入り方、車椅子の乗り降りの指導、ご飯の食べ方の指導など、日常生活で生じる運動の訓練をする。 -------------------------------------------------------------- <講師コメント> 皆さんには、どこが困っているかをちゃんと言えるようになってほしい。 -------------------------------------------------------------- 「要望」「交渉」など介護者は自分の意志をはっきり専門職に伝える必要があります。「きっとダメだろう・・」とあきらめず、ダメ元で要望や不安を口に出すことが大事ですね。そのうえでダメだったら次の策を考えてみるしかないですね。介護者は自分と常に向き合って自分の内なる声に耳を傾けましょう。

気になるけど使い方がわからない介護保険サービスは何?

『「小規模多機能」ってどういうもの?』 (講師)定額制で色々なサービスを使える。定員は25名。通所、訪問、お泊りなど、定額の中でどう組み合わせて使うかがポイント。緊急の予定変更には使いやすい。ただしその施設のケアマネとの契約が必要。 ・働きながらでは使いやすいのかも? ・小規模多機能を使いたいのに断られたことがあった。「人員不足でヘルパーの派遣が難しい」「働きながらだと時間のずれ込みに対応が難しい」「ずれ込んだ時間の分は自費で」と言われたり…。 ・小規模多機能だと質が下がることが心配。小規模多機能で本当にいいところがあればそこにお願いしたい。 ・仕事中だと緊急でも引き取りに行けない。そんなときに施設でも緊急で対応してもらえなかったり自費になってしまうと使いづらい。 ・絶対的な数が少ないので、利用したくてもできない。 『訪問診療はどんな時に使う?』 (参加者から) ・介護の終盤は、外出が辛かったため。 ・多機能が悪くなってくると診療に時間がかかり、一日行くだけで疲れてしまうようになったから。 ・病院を拒否してあばれるので。 ・できるだけ入院はさせたくない。24時間在宅医に依頼している。薬は介護者が取りに行った。費用はかかるが薬局が届けてくれることもある。 ・通常は近場の総合内科で診てもらって、大病院ともちゃんと連携しておいていざという時に備えている。 ・主治医がいれば(複数診療科にかかっている)カルテをすべて診られるので、何か変化があれば言ってくれる。 (講師)訪問診療については大きな病院であれば地域連携室があるので、そこに相談すると良い。 『ショートステイの上手な使い方は?』 (講師)まず見学した方がよい。ケアマネにお任せすると希望と違うところに入ってしまうかもしれないので、下見をしたり介護仲間に聞いてみたりして情報を集める。民間のショートステイも増えている。 また、もしショートステイをメインで考えるなら、ショートステイを扱うケアマネに相談するのもひとつの手。キャンセルが出た時に優先的に声をかけてくれるかもしれない。 『働く介護者に合わせた柔軟な対応をしてほしい』 ・ケアマネの営業時間が長いところ。土曜も対応してくれるが、本音としては平日夜8時に来てほしい。 (講師)経営者によるのでは。 ・遠距離介護で、地方の事業所にわざわざ行けないのでSkypeで対応してほしい。業界的にIT化はどの程度進んでいるのか? (講師)今後進んでいくと思う。現場の介護職の方が遅れている。申請書の提出はメールでも済むのに紙でやっている。進んでいる例としては、要介護者の様子を動画で撮って、サービス担当者会議の場でタブレットを使って見せる例がある。 -------------------------------------------------------------- 介護業界のIT化は今後必須になるでしょう。ただ、私たちは「いま」介護をしています。今すぐにできるIT化から導入していただけると助かるのですけどね。

仕事と介護を両立させるためのケアプランにするには、私たちは何をしたらいいのだろう。

介護殺人に至ってしまうのは無職の方が多い。仕事をしていて、社会的責任を負っていると自制が働くのではないか。 ・いいケアマネは、サービス担当者会議の場でよく話を聞いてくれる。相談したときにちゃんと受け止めてもらいたいので、こちらもどんどん発信しないといけない。 ・言ったことに対して受け止めてくれるように、困ったことを何でも言わないといけないと思うものの、うるさがられて遠慮して言えなくなることもある。おせっかいな人の方が自分には合うと思う。 ・介護に対する自分のスタンスを決めること。例えば民間か行政に頼むかという点なら、民間の方がIT化の進みが早いことも考慮する。 ・働きたいのか介護に専念したいのかよく考える。後者なら、仕事を辞めるのも選択の一つ。働きたいのなら何を優先するのか、そのうえで要介護者にとってベストだ、と介護者が思える環境を考える。最善の方法をケアマネと二人で探しながら、臨機応変にケアプランを変えていく。 ・自分のできるところを提示して、できないところをフォローしてもらっている。 私たちは生活の一部として介護をしているけれど、ヘルパーは職業として介護をしているので、時折事業所に思いが通じていないのではないかと疑問を感じることはあるけど割り切る。 <最後に、講師からコメント> 介護者の皆さんには、ぜひ「質問力」をつけてほしいと思います。 ただ「困っている」とケアマネに訴えるのではなく、「こういうところで困っているが何か方法がないか」と、具体的にお話してください。 よくわからない場合は、朝起きてから寝るまでの間で、何が問題か動作ひとつひとつについて考えてみてください。と言っても、要介護者本人が困っていることを考えても想像でしかないので、介護者の立場でどんなお世話をするのに困っているのか、そこを言ってください。 その困りごとに対して、的確なサービスを提案するのがプロの仕事なのです。

雑感

という感じで、今日は久々に熱い意見が飛び交いましたね。わくわくしてしまいました。どんな内容であれ介護者が積極的に自分の意見を発信することは、練習にもなるし、自分の考えをまとめる機会にもなります。 「専門職には言えないけど、おなじ介護者の前なら言える」それでもいいと思います。そうやって発信力をつけることで、専門職とも対等に意見交換ができるようになるかもしれませんからね。 本ミーティングの新たな意味を感じることのできる会でした。

お知らせ

このミーティングは「働く介護者・働くシングル介護者・介護離職者」の現状を 社会問題として「発信」することが目的のひとつです。 NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの全面的なご協力、 ミーティング趣旨をご理解してくださった介護者の皆さまのご協力により 多岐にわたるご意見を社会に発信することができます。 なお、この内容はより多くの方にお伝えしていきたいので、皆さんのお力を借りて、 介護仲間や会社の同僚、お友達や担当ケアマネージャーさんなどにも、発信できたら幸いです。