【第12回議事録】介護離職を考える~同僚が介護者になったら

2015年09月19日

今日の参加者

[日時] 2015年9月19日(土)14:30~16:30 [場所] ケアラーズカフェ新高円寺 in まちのたすけあいセンター [参加者] 総勢14名(スタッフ、オブザーバー含む)

介護が迫って不安を抱えている同僚への一言

情報提供する ◆地域包括センターに行くことをすすめたり、役に立ちそうな情報を教える。また、「親のことも大事だけど、色んな制度を利用してやっていけないかなあ」という自分の考えを伝える。 ◆自分はどこに行って聞いたらいいかわからなかった。だから、介護で困っている同僚がいたなら、市役所に行って聞くこと、介護者の会があること、会社の制度を調べることなどをアドバイスする。 ◆自分の経験を自発的に話している。会社の制度はあるが、社内セミナーも形だけだったので参考にはならなかった。夫が実親を介護する実態を見ての本音を言う。 なるべくいろんな情報を入れた方が良い。周囲に言った方が情報が入ってくるので、抱え込まない方が良い。 聞き役に回る ◆不安でいっぱいだと思うので、「相談があったら乗るよ」という姿勢で当人が話したくなるまで待つ。 自分の経験の中で、介護者の集いやHPなど知ってることは教えてあげる。心の支えになれればと思う。 ◆まずは聞いてあげること、次にどの状況・段階なのかを聞く。離職に至る段階でないのに、その選択肢を掴んでしまうと不幸になってしまうので、状況を整理してあげる。 個人で情報を探すのには無駄足が多いので、社内では冊子を置いておくなど情報が分かるシステムを作っていく。 言える空気を作る ◆社内相談室には、ダイレクトに「介護」で相談はされない。言えない風土がある。「上司に言えますか?」と聞くと、「不安で言えない」と言う人が多い。啓蒙活動やセミナーは毎年やっているが、周知された感がない。 「言っても大丈夫。上司が怒る方が悪い。まずは自分の状況を分かってもらうことが大事。同僚でも隣の上司でも総務でも、言って味方を増やすように」とアドバイスしている。 相談者は、何が不安なのかわからないけど不安という状況。なので、状況を整理してあげるというのが経験者に出来ることですね。 ◆同僚とは職位などで立場の違いがあるので、社長にでもない限り言えない。介護保険を支払う年代の社員を集めて、介護制度の教育をするべき。相談以前に、そういう制度を知らないと社員は安心できない。 ============================= 私たちは介護経験者であって、介護中でもあります。詳しい状況は違えど、介護のことで相談されたらその勇気を受け止めてあげることが最優先ではないでしょうか。 一緒に会社の文句を言うのもいいでしょうし、現行の介護社会の憤りを語り合うのでも構いません。情報を伝える、話を聞いてあげる、いずれにしても積極的に向き合ってあげて欲しい。そして、そのうえで「じゃぁ、どうしようか」と支えてあげることができるのは、介護経験者が故ではないでしょうか。私は、そんな風に感じました。 会社に意見具申ができるようであれば、「介護制度の教育をすべきでは」と提言するのはもちろん有意義なことです。介護が辛くて「介護者であること」をカミングアウトしたがゆえに、それを弱みと思われ足を引っ張るような企業もあるという発言もありました。それは否めない現実かもしれません。で、あるならば、一緒に足を引っ張るのではなく、味方になってあげるべきではないでしょうか? 今後、介護をしながら働く人間は確実に増えていきます。味方を増やせば、会社も変わらずにいられないはずです。 私たちは、「介護をしながら働く」ということが問題視され始めた時代を生きてしまっています。全員が全員、自分の意志とは関係なく働く介護者のパイオニアなのです。介護離職を止められるのは、私たち以外にはいないのではないかと強く感じました。そして、ただ、一つだけ言えるのは介護や育児、どんなことでも「人を大事にできない会社に明日は無い!」ということです。

介護環境に不満を持っている同僚への一言

◆介護の人材が少ないので、ヘルパーの質に不満があっても「ありがとう」と思うようにしている。 自分は一般職でも育休が取れるようになった世代(それ以前は総合職が対象だった)だが、いまでもマタハラが起きているということは制度を利用できてない。 世間が動き出すにはまだ時間がかかる。周りが分かっていないと言い出すことができない。自分が築いた社会があるので崩したくない思いもあるだろうけど。福祉の会社ですら転職せざるを得ない。 ◆ケアマネージャーへの不満に対しては、声を上げてもいいとアドバイス。 ◆職場については、転職よりはしがみついてでも続けることを勧める。自分は、状況が落ち着いてから考えると辞めなくてよかったと思っている。 ◆社内での配置換えも一つの選択肢である旨を伝える。 ============================= ここで、介護環境の中でも特にケアマネージャーに対してどう判断したらいいの?という話題が盛り上がりました。 ケアマネージャーがどんな役割を担うのかが、介護初心者にはなかなか把握しづらいものです。 「どうしたらいいかケアマネージャーに相談したら、逆に“どうしたいんですか?”と聞き返された。ヒアリングして最適プランの提案を期待したのに…」と語る参加者も。 では、同僚がケアマネージャーへの不満を漏らしたとき、どんなポイントで判断するか、参加者に聞いてみました。 ・要介護者のことをよくわかっているケアマネージャー ・同じ言葉で話ができる ・介護者7割、要介護者3割の割合でプランを考える ・提案してくれる ・人間愛と高度なスキル ・医者の触診みたいなことをしてくれる人、チェックシートでスキル判断したい ・地域のケアマネージャーが、異動のある福祉サービス会社所属のケアマネージャーよりいい ・ケアマネージャーになった動機を知りたい、仕方なく就いた人は態度に顕れるのではないか ============================= 介護環境と一言で言っても、職場も家庭も介護保険サービスもご近所も、あなたの生活環境がすべて介護環境。特に、職場の環境、介護保険サービスによる環境への不満が強いことが分かりました。 職場の環境においては「辞めない」ということを前提に、どのように改善していったらいいのでしょうか。やはり、会社の協力は不可欠です。もし会社が協力を拒む場合は、社外の労働組合を絡ませて強硬手段に出る方法の提案もありました。強硬手段をとった人間が、そのままその職場に居続けられるか否かは別として、今後の働く介護者にとっての職場環境の整備としては確かに一つの方法と言えるかもしれません。 また、介護保険サービスによる環境への不満は、ケアマネージャーへの不満がその発端であるように感じられました。でもこれは、そもそもケアマネージャーの役割を理解していないが故に起きるすれ違い。スキルのチェックポイントを共有することも客観視するためには必要であるが、まずは、介護経験者としてケアマネージャーの役割、ケアマネージャーとの付き合い方をまずは教えてあげることで、不満はだいぶ解消するはずです。

介護離職を考えている同僚への一言

休ませる ◆クールダウンさせるために休ませる。要介護者にショートステイに入ってもらうなど、「介護を」休ませて、その間に会社に居るべきなのか転職するべきなのかを考えさせる。 ◆社内相談室には煮詰まっちゃった人が来る。実態はどうあれ、本人がどうしようもないと思っている。とりあえず休みをとってその間に考えてもらう。 辞めない方法を一緒に模索する ◆できるだけねばってほしい。辞めてしまうと探すのが大変。休んでもいいから続ける道を一緒に探す。 ◆介護者の集いや相談者を紹介する。 ◆会社の事情の悩みと、介護するためにどうアクションしたらいいかのパニックで、もうどうしようもないと本人が思っていたら、有休使う、時間帯を変える、職場を変える、介護者の会に連れてくるなどいろいろ提案する。 休んでも、パニックで何していいか分からないのでクールダウンにならないかも。介護は突然鬱に入るようなもの。そうなることを避けないと。 転職もあり ◆ハローワークなど色々な情報を集めて転職を勧める。ただし、辞めるまえに 転職先を決めてもらう。 ◆介護で有休をとるとあっという間に使い果たしてしまうが、使える制度はぎりぎりまで使う。それ以上は休むと無給という状況になってから転職活動した。

総評

満二周年記念のミーティングは介護経験者、未来の介護者、相談業務に従事している方、介護離職に興味のある方など、多岐にわたる方にご出席いただきました。心より感謝いたします。 とにかく「NoMore介護離職」。そばで介護に苦しんでいる方を見かけたら「仕事は辞めるべからず」と体を張ってでもそれを止めよう!という無理やりなまとめをさせていただきました。 理由は明らかです。「自分たちが嫌だったから」。ただそれだけです。 私たちは介護離職世代なのかもしれません。いわゆる時代のパイオニアです。前例がないから苦労しています。前例がないから仕事と介護の両立が難しいです。だからこそ介護経験者の声というのが貴重であり、そこに事実があり、そこにノウハウがあるのだと信じています。 「介護は社会に還元しないので隠れてしまう。」という発言がありました。ある一面だけをとればそうなのかもしれません。しかし、介護は雇用を生み出しています。介護は人間を豊かにします。介護は人間の摂理です。いままで顕在化していなかっただけで、介護も知恵を出せばもっともっと社会をよくする大きな原動力になると私は信じています。 「あなたの経験が誰かのためになる」 次回は3周年に入ります。ぜひぜひ、多くの方に時代のパイオニアとして参加していただきたいと願っております。

お知らせ

このミーティングは「働く介護者・働くシングル介護者・介護離職者」の現状を 社会問題として「発信」することが目的のひとつです。 NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの全面的なご協力、 ミーティング趣旨をご理解してくださった介護者の皆さまのご協力により 多岐にわたるご意見を社会に発信することができます。 なお、この内容はより多くの方にお伝えしていきたいので、皆さんのお力を借りて、 介護仲間や会社の同僚、お友達や担当ケアマネージャーさんなどにも、発信できたら幸いです。