【第19回議事録】フリートーク

2016年11月19日

今日の参加者

2013年11月からはじまった「働く介護者おひとり様介護ミーティング」は、今回で4年目に突入します。 この3年間に何度も参加していただいている方もいらっしゃり、このミーティングを知ったきっかけを振り返りながら自己紹介をしていただきました。 【Aさん】 和氣さんとは、とある介護者向けセミナーで和氣さんと知り合った。 おひとり様で母の介護をしており、いっぱいいっぱいで深夜に漫画喫茶に逃げたこともあった。 現在は住み込みのヘルパー数名で世話をする体制を整えている。ヘルパーさんも高齢なので老々介護と言えなくもないが、高齢者に働き口を提供するという点で意義があり、それも含めての「介護」かなと考えている。 自分は自分のためにとにかく働き続けたい。 【Bさん】 母を在宅で7年、現在は長期療養型施設に入っている。母が一時期入院して退院したと同時に父が倒れてしまい、パニックだった。きょうだいも子供が生まれたばかりであまり頼ることができなかった。 当時本屋でアラジンの本を見つけ、すぐ近くで介護者の会が開かれていることを知った。 しかし自分が疲れすぎていて余裕がなく、実際に足を運ぶまでにしばらく時間がかかったが、参加してみて自分だけじゃないんだとすごく救われる思いがした。 【Cさん】 昨年介護を卒業した。介護が終わったら再就職をしようというのが心の支えだった。 参加していた介護者の会では、すでにリタイアした年齢層の方が多く、介護のために退職せざるを得ないという話をしてもピンとこない様子だった。 自分の地元にも介護者の集う場所がほしいと言ったら、「ではあなたがやりなさい」と言われ、現在は介護者カフェを運営している。

フリートーク

今回のテーマはフリートークということで、主催の和氣から会の成立の経緯や自身の情報発信活動を紹介しつつ、企業側の空気の変化や、仕事と両立している介護者には社内への情報発信の担い手としてもっと奮起してほしいという熱いエールが送られました。 ◆この会を始めたきっかけについて 【和氣】 私が介護を始めた当初は、介護をしているという認識はなく、ただ辛かった。他の人がどうしているのかと思っているところおひとり様介護について書かれた本を見つけ、同じ思いをしているのは自分だけじゃないというを知った。アラジンの介護者サロンの存在も知り、グチを言うのは好きではないのでためらいはあったものの、思い切って参加してみたところ、予想と違って参加者の皆さんは表情が明るく、とても元気だった。 介護は家事の延長の自己満足で、誰からも認めてもらえないと思っていたが、介護の先輩たちはすごく認めてくれた。 サロンはその後一時期人気が出て参加者が増えてゆっくり話しにくくなったのと、それでも世間に取り組みが知られていないことが残念だった。自分なりのテーマで集いの場を持ちたいと代表者に相談し、カフェをお借りして開催できることになった。 介護者支援団体は、資金があまりない。 介護者支援事業をビジネスにしようとしても、ビジネスモデルがなく非常に難しい。 当初は介護離職者向けに在宅でできる仕事を回そうと考えたが、企業の人事部向けの企画を営業するなど試行錯誤している。 「新三本の矢」政策が追い風になったのはありがたい。介護者支援がビジネスになることが理解されれば、参入も増える。事業で資金を作って、カフェを運営できるようにしたい。西新宿や丸の内などのビジネス街に作りたい。 ◆どうしたら働く介護者に注目が行くのか? 【和氣】 WCBでは、依頼を受けて仕事と介護の両立セミナーを実施している。間もなく実績が50回となるが、非常に高い満足度を得ている。 介護保険の詳しい話ではなく、ただ介護が始まったらこのハンドブックを見なさいと言っている。 講演会で話す内容は、介護者ならすでに知っているようなこと。 社内にいるはずの介護者に注目してほしい。介護経験者は、自分の例は特別だから参考にならないと思っているが、やっていることを分解すれば、どこかは必ず誰かの役に立つ。 介護は個別性が高いと言うが、基本は一緒のはず。各自で応用しているので、見えることが違ってくるだけ。 介護者は社内でぜひ手を挙げてほしい。 【Aさん】 社内に介護者支援の提案をしたが、一年間放置されていた。上司にとっては優先順位が低いことなのだろうと思った。先輩には、「何かを変えたいなら上に上がらなければだめだ」と言われた。 確かに一介の社員が言うより、管理職が言う方が影響力が大きいのだと思った。 自分は総務なので、皆が働きやすい環境を作るには後ろの方で支えていればいいと思っていたけど、それだけではダメだと気づき、勉強も始めた。 【和氣】 例えば日本の企業の99%は中小企業だが、大企業の取り組むと影響力が大きい。 草の根でやる方法もあるかもしれないが、上に行く方法を取るのは一理ある。 ◆セミナーや講演会をして、相手企業は影響を受けた? 【和氣】 あります。社内向けに講演会を開くことになり、冒頭に社長が、自分も介護経験があるので「介護は皆自身にかかわること」と挨拶し、次に分科会メンバーが「自分も介護者なので何かあったら相談してください」と話した。後日、社内の介護者から分科会メンバーに相談が言ったそうです。 介護者を大事にしている理想的な企業だと思う。 セミナーを依頼する企業にはリピートが多く、同様に分科会活動をきっかけに、社内各拠点を回ったり、従業員全体に対象を拡大したりといった展開になることがある。 「地域包括支援センター」は必ず唱和して覚えてもらう。この単語を覚えておくことで、いざという時に思い出して助かる人がいるかもしれない。 ◆無料体験会をやっていて、参加者の意識は変わった? 【和氣】 参加者の意識は元々高く、そういう意味では変わらない。 でも何をしたらいいかという行動ができなかったり、これぐらいは知っているだろうというという初歩的なことを知らなかったりする。 以前は参加者は「介護休業制度がちゃんとあるのになぜ使わないのか?」という意識でいたが、1年前ぐらいからは、「介護休業とは違うフォローが必要な気がする」という意識に変わってきたように見える。 ◆マスコミの影響が大きすぎる? 【和氣】 マスコミからはドキュメントの取材で「介護離職者を紹介してほしい」と言われることがあり、そういうオファーは断るようにしました。 【Cさん】 番組によっては、視聴者のターゲットは中高年層ではないか? 上の世代は、介護離職についてわからない。専業主婦が多いから、介護で離職したと言っても「そういう人いるの?」という反応。

雑感

働く介護者おひとり様介護ミーティングも4年目に入りました。継続することで、たくさんの出会いと学びをいただきました。心より感謝申し上げます。 介護者にスポットが当たる社会を作っていくためにも、どうしたら、介護をしなが働くことが当たり前の社会になるのか考えていきます。